ANA JAL業績は回復!株価は回復ならず?ジェットコースター航空株!?【2024年9月特別版】

暫くでございます。

COVID-19禍におけるジェットコースター航空株逆張り作戦は終了しました。

その後、最小単元だけ持ち、モニターは続けています。

気になることを、突然思い出したようにアップします。

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「世界は変わった」そして旅客は戻った

COVID-19直撃を受けた航空株ですが、

2021年2022年と赤字であったANAホールディングスと日本航空の業績は、

いずれも、2024年3月期の決算では、2019年のそれを回復しました

御苦労あったことと存じます。

2024年3月期(億円)  売上高    営業利益   営業利益率 
ANA20,5592,07910.1%
JAL16,5191,4098.5%
2024年3月期決算
FY2019-FY2024業績

2020年に始まったCOVID-19禍により、

人々の移動は強制的に制限され、移動や接触をしなくて済むテクノロジーが進みました。

人類の歴史より、いずれこのウイルスを克服することは予想されていましたが、

制限されなくなっても旅客は以前のように回復しないだろう、という向きがありました。

それほど、100年に一度と言われるウイルスショックが大きかった訳です。

しかし、WHOの新型ウイルス緊急事態宣言は2023年に終了して、4年を経て旅客は回復しました。

制限が無くなると、人々は移動します。それが自然だからです。

航空旅客については、元々、経済発展とともに右肩上がりの増加が予想されていす。

今回のパンデミックで後ろずれしたものの、右肩上がりの増加予想は変わりません。

日本航空機開発協会 民間航空機に関する市場予測2024-2043より引用

JADCの世界の航空旅客輸送量の推移図では、

世界の経済成長と共に、旅客輸送量の上昇が予想されています。

実績ラインが、2001年の同時多発テロ、2008年の世界金融危機で凹みますが、いずれも期待値ラインに復帰します。

それらの危機に比べて、空運業にとっては、COVID-19ショックが如何に大きなものであったか、実績ラインを見れば分かります。

しかし、旅客輸送量は回復します。

但し、凹みが大きすぎるせいか、標準モデルから4年程の後ろずれをして上昇予測がされています。

確かに、世界は変わりました。

しかし、旅客数は回復し、増加が予想されています。

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回復しない株価

これは、従前の株主にとってですが、

ANAとJALの業績が回復しているのに、株価はそれ以前に戻っていません

空運業比較チャート 楽天証券テクニカルチャートを利用

業種別で、株価がCOVID-19禍以前に回復していないのは、空運業と陸運業です。

これは、大型株で大型の増資をした航空株と鉄道株があるためのようです。

ANAとJALは、いずれも2020年に3000億,2000億円規模の大型の増資をしており、

直接的には、増資による株数の3割程の増加と、一部の資本指標の悪化による、株価値の希薄化により、

下方にバイアスされているとみるのが妥当でしょう。

~2023年9月

COVID-19暴落前からの、日経平均株価(日経225)との比較チャートを見ると、

ANA、JALの指数の動きにほほ等しい空運業は、

WHO新型ウイルス緊急事態宣言終了後の、2023年7月が戻り高値になっています。

2023年7月では、

  • 日経225は、暴落から回復したのち4割程上昇している。
  • 空運業は、惜しいが暴落前に1割弱程届いていない。

公募増資後、2023年9月までは、日経225と空運業の乖離は、およそ同じ幅で推移しているが、

これが先程の下方バイアスだと当て嵌めることが出来るでしょう。

2023年10月~

さて、様子が変わるのが、2023年10月以降です。

日経225は、その後大きく上昇しますが、空運業は下落に転じます。

先程の下方バイアスを保持するならば、

日経225の上昇と共に、戻り高値を抜いて、暴落前の水準を上抜いている筈ですが。

両者の乖離は、ワニの口のように広がっています。

2024年9月では、

  • 日経225は、暴落前から7割程上昇している。
  • 空運業は、暴落前から2割下落している。

ANAとJALの業績は、回復しているので、異なる要因が重なったと思われます。

イスラエル中東戦争

2023年10月に、ハマスとイスラエルの間で戦争が始まりました。

その後、自制的でありますがイランも巻き込みながら戦況は拡がっています。

旅客数が回復していなかったロシア・ウクライナ戦争時に比べ、

旅客数が回復していたイスラエル中東戦争時の方が、

更には、地理的にも資源的にも、我が国に与えるセンチメントの悪化影響は大きいかもしれません。

原油価格も懸念されます。

急激な円安

円安基調にあった為替レートですが、

この時期、円安が加速しています。

日経225は、それに支えられた上昇と考えられますが、

空運業にとっては、ロシア・ウクライナ戦争による原油価格高騰が落ち着いたものの、

燃料代をはじめ営業コストの負担となります。

前期比減益

2024年3月期の決算では、2025年3月期の予想が営業利益減と控え目でした。

この時期に、実際出てきた4半期決算では、営業コスト増により前期比利益3割減という数字で、

株価は下落しました。

これらにより、センチメントが悪化したと思います。

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ジェットコースターの今後

売上高は上昇続ける?

ANA売上高の推移

ANA、JALとも、売上高の増加を予想しています。

当たり前かもしれませんが、

2000年以降のANAの売上高の推移を見ると、

前述の航空旅客輸送量ラインと全く同じ曲線を描いています。

今後、売上高は凹みがあっても上昇続ける可能性は高いです。

利益圧迫要因は多い?

他方、空運業の利益圧迫要因は多いです。

最近の顕在リスク以外にも、

外部環境の変動リスクや、突発性のリスクは、多岐に渡ります。

しかし、これらは、元々この業種について回るもので、

今に始まった訳ではありません。

凹むでしょうが、経験値はある筈です。

今後、増えるリスクとしては、環境対応リスクがあるかもしれません。

見えているものでは、CO2排出削減の費用が求められるようです。

見えておればリスクにならないので、株価の反応は限定的かもしれませんが、

こういった環境対応は、近い将来にも、基準が変わる筈なのでリスクとして残ります。

空運業は、ひと昔前ですと、

旅客輸送業の中でも、利益率は一番低く、数%だったと思いますが、

COVID-19禍前後のANAとJALの利益率は、健闘していると思います。

下押しリスクが軽減されれば、株価は浮上すると思います。

公募増資から株価最高値?

ANAについて言えば、

2012年に大型の増資を行っており、参考にすると、

その時の推移は、下落した後、

今回と同じように、日経平均株価に対して、下方にバイアスされた状態で上昇して行き、

2017年に最高値を取りました。

増資を行った2012年は、ユーロ危機の時代ですが、ANAの業績が特段悪い訳でなく、

株高は、2013年からのアベノミクスが背景にあります。

今回とは状況が異なりますが、

インフレ、賃金増による、GDPの伸びがあればひょっとするかもしれません。

航空株は、GDPの伸びで上に跳ねる傾向があるようです。

期待しましょう。

本日は以上です。ありがとうございました。

2024 ANA Calendarより

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