先日、INTEL535のSSDロスト解決記事を書きました。
SSDロスト想定原因
そこでの原因想定は、
安価なATX電源ユニットによる、
仕様範囲ではあるが、低めの5V電源出力が、
SSD側で、仕様外の瞬間的な電圧降下になることである。
としました。
あくまで、想定ですが。。。
いつも、PC清掃後、数か月は調子いい。
ATX電源ユニットを換えることにより、解決した訳ですが、
もし、SSDロストが、仕様外の微妙な状態で起こっているならば、
ちょっとしたセッティングで発生頻度が改善される可能性はあります。
それを、
別のATX電源ユニットを調達するまでの間の繋ぎ。
或いは、
それによって、発生が0になる可能性もあると思います。
暫定対処方法
SSDの5V電源電圧の極僅かな電圧降下を防ぐような工夫として考えられるものは、
コンデンサ追加等、直接改造しないとして、
- 家中のAC電源コンセントの位置
- PCケースの開放
- PC冷却ファンの強化
- ペリフェラル部品の削除
- 接続端子やPC内部の清掃
- ATX電源ハーネスの接続構成
等があると思います。
この中の、6.ATX電源ハーネスの接続構成について、後段で詳しく述べます。
✔家中のAC電源コンセントの位置
全てではありませんが、
100V AC電源入力が低ければ、DC電源出力が、僅かですが、低くなる可能性はあります。
家庭内のACコンセントは、
配線や負荷により、
コンセントの場所によって、電圧値が僅かに異なるかもしれません。
時間帯によっても、異なるでしょう。
電圧が高めに出ているACコンセントに繋ぐと、SSDロスト頻度が改善されるかもしれません。
✔PCケースの開放
一般的に、電源ユニットの温度が高ければ、出力が低くなる傾向があります。
電気エネルギーが熱エネルギーに消費される為です。
PCが温もっていない状態で、SSDロストが起こらず、
暫くして、PCが温もり出すと、SSDロストが起こるならば、
PCケースの開放によって、ATX電源ユニットの温度を下げることが出来て、
SSDロスト頻度が改善されるかもしれません。
✔PC冷却ファンの強化
PC冷却ファンの強化もあるかもしれません。
ATX電源ユニットの内部に組み込まれているファンは、交換出来ませんから、
PC筐体のPC冷却ファンの強化ですが、
一般的には、マザーボードや、拡張ボード等を冷却ターゲットにしており、
ATX電源ユニットに直接冷却風を当てる構成では無いため、効果はないかもしれません。
理屈的には、風量が増えれば、冷却効果は上がりますが、
風路設計がどうなっているかが大きな要素です。
✔ペリフェラル部品の削除
一般的に、電源負荷が大きくなると、出力電圧が低下します。
PC内外部の、ペリフェラル部品が多いと、それだけ、電源消費量が大きくなりますので、
仕様からすると僅かですが、
出力電圧が低下することになります。
また、電源消費量とともに電源温度も上がります。
ペリフェラル部品の数を減らせば、或いは、省電力品への交換により、
SSDロストの頻度が改善されるかもしれません。
これまでは、
ACコンセントの位置やPCケースの開放、あるいは、部品の交換等、
設置対処に条件が要るものですが、
設置や部品交換を必要としない、お手軽に試せるのが、
以下からになります。
✔接続端子やPC内部の清掃
接続端子の汚れは、信号を劣化させ、
DC電源端子であれば、電圧低下の要因になり得ます。
通気孔やファン周りの埃の堆積は、PC内部の昇温を招き、
電源ユニットの温度上昇は、出力電圧の低下の傾向があります。
確かに、これまで、
SSDロストが起こると、PCケースを開けて、
ハーネスの接続し直しや、
端子の清掃で、
一時的に現象が解消されることはありました。
管理人のケースでは、再発を繰り返しましたが。
さらに、
本記事では、
✔ATX電源ハーネスの接続構成
を具体的に紹介したいと思います。
ATX電源ハーネス
ATX電源のハーネスの構成です。
マザーボードやペリフェラル部品に繋がる、
DC電源側の出力ハーネスは、ユニットケースから、
数本の束線に分けられています。
最近は1束線毎のモジュラー脱着式になっていますが、
1本の束線の構成は同じで、SATA電源コネクタの束線であれば、
1本の束線に、2~3個のSATA電源コネクタがワカサギ釣りのように直列に付いています。
一昔前だと、電線が色分けされていて、それぞれの色が使用電圧を表していました。
赤色が+5V、黄色が+12V、橙色が+3.3V、黒色がG(0V)
近年は、色分けしていない製品が多いようです。
理由は知りません。必要が無くなったのでしょうか。
束線の構成ですが、
電源ユニットによって、束の本数や線長は、モデル毎にそれぞれです。
接続モデル
図に、SATA電源コネクタの束線を模式化しました。
ラベル | 説明 |
---|---|
ATX POWER | ATX電源ユニット本体 |
A1 | SATA電源コネクタ |
A2 | SATA電源コネクタ |
B1 | SATA電源コネクタ |
B2 | SATA電源コネクタ |
B3 | SATA電源コネクタ |
SSD | SSD(システム) |
HDD | ハードディスク(拡張) |
Issd | SSD電源電流 |
Ihdd | HDD電源電流 |
R | 本体からA1又はB1間電線抵抗 |
2R | 本体からA2又はB2間電線抵抗(R×2) |
3R | 本体からB3間電線抵抗(R×3) |
ATX POWER ATX電源ユニット本体から、2本の束線があって、
同じ太さの電線で構成されています。
Aの束線に、A1とA2の2つのSATA電源コネクタがついています。
Bの束線に、B1とB2とB3の3つのSATA電源コネクタがついています。
ATX電源ユニット本体からの一つ目のSATA電源コネクタの線長と、
それぞれのSATA電源コネクタ間の線長は、同一とします。
そこに、システムの入ったSSDと、拡張用のHDDを繋げるとします。
本題のSSDロストに対して、
- 最も効果があると考えられるのが、図1です。
- 最も逆効果と考えられるのが、図2です。
接続図1のポイント
- SSDが電源ユニット本体に最短で設置。
- HDDを別の束線に設置。HDDも電源ユニット本体に最短で設置。
SSDの入力部の電圧降下:Issd×R
HDDの入力部の電圧降下:Ihdd×R
接続図2のポイント
- SSDが電源ユニット本体に最長で設置。
- HDDを同じ束線に設置。SSDよりも電源ユニット本体側設置。
SSDの入力部の電圧降下:(Issd+Ihdd)×2R+Issd×R =Issd×3R+Ihdd×2R
HDDの入力部の電圧降下:(Issd+Ihdd)×2R =Issd×2R+Ihdd×2R
SSDの入力電圧降下 | HDDの入力電圧降下 | |
---|---|---|
接続図1 | Issd×R | Ihdd×R |
接続図2 | Issd×3R+Ihdd×2R | Issd×2R+Ihdd×2R |
図1のSSDの入力電圧降下は、図2の電圧降下に比べて数倍低いことが分かります。
接続構成のまとめ
要は、
線長が長いほど抵抗が大きくなり、電圧降下は大きくなる。
同じ束線にデバイスを繋げると電源電流が重複し、電圧降下は大きくなる。
ので、
図1のように、
最短、かつ、他のデバイスを同じ束線に繋げない形が最適と思われます。
図2は、その逆で、
SSDが電気的に最も遠い位置にあり、
同じ束線に他のデバイスが繋がることにより、
物は直列に繋がっているように見えるが、
電気的には、並列回路を形成して、電流が重複するということです。
2本の束線が並列だろ、という突っ込みに対しては、
それぞれの束線が重複した電流は、電源ユニットの内部基盤上を流れますので、
電線で引っ張り出しているよりも、
基盤回路は、短く、太く、インピーダンスが低く設計されている筈です。
繰り返しますが、
本記事は、
SSDロストが、仕様外の微妙な状態で起こっているとして、
極僅かな電圧降下の話をしていますので、
通常は、上記デバイスの接続位置を気にすることはありません。
本日は以上です。ありがとうございました。
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